『非常時局読本』のすごみは、
単なる「机上の空論」ではないということです。
海軍少将までつとめた真崎勝次は、激動の昭和史のただ中で、
数々の歴史的転換点に立ち会い、それを見て、それを聞いて、体験してきました。
・ヒトラーやムッソリーニに心酔していく日本の軍人たち。
・日本国内にまで忍び寄るコミンテルンと共産主義革命の脅威。
・天皇陛下への忠義をめぐって葛藤し、真崎のもとへ相談に訪れた軍人――
これらは後世の歴史家が資料を集めて再構成した話ではありません。
その時代を生きた真崎勝次自身が、実際に見聞し、体験した出来事を書き残したものなのです。
だから、この本を読むと昭和14年という時代が、単なる年号ではなくなります。
当時の日本人は何を考えていたのか。
そして、日本という国が大きく揺れ動くなか、人々は何に悩み、何を信じようとしていたのか。教科書ではなかなか伝わってこない、当時の日本人の息遣いまで聞こえてきます。歴史上の人物が動き出し、昭和14年の空気が目の前によみがえるような感覚におちいります。
『非常時局読本』は、当時の日本を「追体験」することのできる数少ない、
貴重な一冊だということです。